外国人が失踪したら5年間の受け入れ停止になりますか?
一般社団法人 外国人雇用支援機構(FESO)/ 最終更新 2026-08-21
答え
すべての失踪が5年間の受け入れ停止につながるわけではありません。賃金の未払い、ハラスメント、劣悪な居住環境など、企業側に「重大な責め」があると判断された場合に5年間の停止となります。分かれ目は、失踪直後の届出と、日頃の記録の蓄積です。
どのようなご相談ですか?
技能実習・特定技能で外国人を受け入れている企業の、経営者様・人事ご担当者様向けのガイドです。
- 相談種別:外国人の失踪(行方不明)と受け入れ停止のペナルティ
- 状況:技能実習や特定技能を運用する企業にとって、最も避けたい事態の一つが外国人の失踪です。「失踪から5年間は新たな受け入れができない」というルールは、人手不足に悩む企業にとって事実上の死活問題となります。
- 知りたいこと:どのような場合に5年間のペナルティになるのか。失踪が起きたときに何をすればよいのか。停止を回避・軽減するには何を備えておけばよいか。
どのような場合に5年間の停止になりますか?
受け入れ企業側に「重大な責め」があると判断された場合です。
入管法および技能実習法において、受け入れ企業側に「重大な責め」がある失踪が発生した場合、向こう5年間は新たな外国人の受け入れ認定が下りないという措置が取られます。単に外国人が個人の事情でいなくなっただけでなく、次のような背景が疑われる場合に「欠格事由(受け入れ資格の喪失)」に該当するとみなされます。
- 労働条件の違法性 最低賃金割れ、残業代の未払い、過度な長時間労働
- ハラスメント・暴行 現場での差別的言動や身体的暴力
- 不適切な居住環境 プライバシーのない劣悪な寮や、不当に高い家賃の徴収
これらの事実を隠したまま失踪が発生し、後の調査で発覚した場合、企業は「優良な実習実施者」の認定を取り消され、5年間のペナルティ期間に入ります。
失踪が分かったら何をすればよいですか?
警察、外国人技能実習機構および地方出入国在留管理局、ハローワークへの手続きを、遅らせずに行います。
初動の対応が、その後のペナルティの重さを左右します。「いなくなったから放置する」ことは、不法残留を助長したとみなされ、最悪のシナリオを招きます。
- 所轄警察署への「行方不明者届」の提出
失踪が発覚した当日、遅くとも翌日には最寄りの警察署へ届け出ます。これにより、企業としての管理責任を果たす意思があることを示します。
- 外国人技能実習機構および地方出入国在留管理局への報告
失踪から数日以内に、指定の「実習困難届」や「在留資格に係る届出」を提出します。報告の遅れは、システム上の不整合を生み、企業の信用を著しく損ないます。
- ハローワークへの「雇用保険喪失」の手続き
雇用関係を継続できないため、雇用保険の被保険者資格喪失届を提出します。この際、離職理由には「行方不明」と明記します。
届出先の名称にご注意ください。育成就労制度の施行は令和9年4月1日です。それまでの届出先は「外国人技能実習機構」であり、「外国人育成就労機構」への名称変更は施行後になります。
停止を回避するには何を備えておけばよいですか?
企業側に過失がないことを示す資料を、日頃から残しておくことです。
すべての失踪が即座に「5年間の停止」につながるわけではありません。審査では「企業側に過失がないことをいかに立証できるか」が焦点となります。
- 月次の面談記録 定期的に本人の悩みを聞き、適切に記録していたか
- 賃金台帳とタイムカードの整合性 法定どおりの賃金を支払い、36協定の範囲内の時間外労働であって、過度な労働をさせていなかった証拠
- 失踪後の調査報告 寮の荷物の状況や同僚への聞き取りを行い、失踪の動機が本人側の事情であることを客観的にまとめる
特定在留カードの導入で何が変わりますか?
失踪者の動きがシステム上で検知されるようになり、届出を怠った企業のリスクが高まります。
在留カードとマイナンバーカードが一体化されると、失踪者の管理は大きく変わります。失踪者が別の場所で健康保険証を使ったり、銀行口座を動かしたりすると、システム上で即座に検知されるようになります。
失踪後に適切な「資格喪失届」を出していない場合、失踪者がどこかで犯罪や不法就労に関わった際、企業が「不法就労助長罪」の共犯に問われるリスクが、デジタル化によって以前より格段に高まっています。
最後に押さえておくべき点は何ですか?
即日対応、証拠の日常的な蓄積、失踪理由の分析の3つです。
- 発生時は即日対応する
警察・地方出入国在留管理局・外国人技能実習機構への報告を1日も遅らせないでください。
- 証拠を日常的に蓄積する
「いじめがない」「給与が適正」であることを、定期面談報告書などの記録として残し、いつでも提示できるよう管理しておきます。
- 失踪理由を徹底的に分析する
なぜいなくなったのかを分析し、改善案を次回の更新申請(あるいは新制度の申請)に盛り込みます。
失踪が発生してしまった後でも、「企業側の管理体制に不備がなかったこと」を論理的に説明し、ペナルティを回避・軽減できた事例は少なくありません。「外国人がいなくなってしまった」「このままだと次の採用ができない」とご不安な場合は、一刻も早く専門家へご相談ください。
よくあるご質問
失踪者が出ると必ず5年間受け入れができなくなりますか。
いいえ。企業側に「重大な責め」があると判断された場合です。労働条件の違法性、ハラスメント・暴行、不適切な居住環境などが該当します。
失踪が分かったらまず何をすればよいですか。
発覚した当日、遅くとも翌日には最寄りの警察署へ行方不明者届を提出します。その後、外国人技能実習機構および地方出入国在留管理局への報告、ハローワークでの雇用保険の資格喪失手続きを行います。育成就労制度の施行は令和9年4月1日で、それまでの届出先は「外国人技能実習機構」です。
自社に非がないことはどう示せばよいですか。
月次の面談記録、賃金台帳とタイムカードの整合性、失踪後の調査報告といった資料を、日頃から残しておくことです。
届出をしないまま放置するとどうなりますか。
失踪者が犯罪や不法就労に関わった際、企業が「不法就労助長罪」の共犯に問われるリスクがあります。
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※この記事は一般的なご説明です。制度は変わることがあり、実際の可否は個々の事情によって異なります。最新の情報は出入国在留管理庁の公式サイトでご確認いただくか、当サイトの行政書士にご相談ください。