経営管理ビザの初回更新で資料が揃わないときは?
一般社団法人 外国人雇用支援機構(FESO)/ 最終更新 2026-08-21
答え
出せない資料を隠すのではなく、「なぜ出せないのか」「いつまでに改善するのか」を上申書で論理的に説明し、代替資料で補完することが基本です。初回更新では準備不足や遅れが生じることも一定程度想定されています。特に税務面は、申請前に「申告の意思がある」形を作ることが許可への近道です。
どのようなご相談ですか?
納税証明書も法人口座の通帳も揃わないまま、「経営・管理」1年目の更新期限が迫っている方からのご相談です。
- 相談種別:ビザ(コンプライアンス・実務)
- 申請種別:在留期間更新許可申請(「経営・管理」1年目)
- 状況:オーストラリア国籍。2024年にスタートアップビザで来日し、2025年5月末に「経営・管理」へ変更。2025年1月に法人を設立し、第1期は申告済み、第2期は決算の真っ最中。
- 個人の納税面:2024年・2025年ともにオーストラリア側で給与を受け取り日本へ送金していたが、日本での確定申告をしておらず、住民税の課税・納税実績がゼロ。
- 設備面・雇用面:事務所の内装工事がようやく終わったばかりで、稼働実態を示す写真が乏しい。常勤職員はゼロ。
- 財務面:売上は100万円弱あるが、法人口座が作れず、すべて現金計上の状態。
- ご質問:提出すべき納税証明書や法人口座の通帳コピーがない。これらをどう代替し、上申書でどのように説明すれば許可の可能性がありますか。
日本での納税実績がないときはどうすればよいですか?
認識不足を素直に認めたうえで、期限後申告の手続きを進めていることを上申書に明記します。
最も深刻なのは、日本での確定申告(納税)が行われていない点です。日本に居住している以上、海外での給与であっても日本で申告義務が生じるケースが大半です。
上申書での説明
「日本での納税義務に関する認識不足」を素直に認め、謝罪したうえで、現在、税理士を通じて過去分の修正申告(または期限後申告)の手続きを進めていることを明記してください。
代替となる資料
- 本国での確定申告書(Tax Return)の写しと翻訳
- 日本への送金記録(海外送金証明書)
- 税理士とのやり取りの記録(申告準備中であることを示すメール等)
理想を言えば、申請前に期限後申告を済ませ、納税した領収書を添付することが最も強力なリカバリーになります。税務面は審査で最も厳しく見られるポイントです。
法人口座がなく売上が現金計上のままでも大丈夫ですか?
口座を断られた経緯を示し、総勘定元帳と契約書・請求書のセットで売上を立証します。
日本の金融機関は外国籍の新規法人に対して非常に厳しく、口座開設に半年以上かかることもあります。これは実務上の障壁として地方出入国在留管理局も把握している事情です。
上申書での説明
「複数の金融機関に申し込んだが、実績不足等を理由に断られた」「現在審査中である」という具体的な経緯を記します。
代替となる資料
- 銀行からの「お見送り(拒絶)」の通知メールや書面
- 審査中であれば、その受付票
- 総勘定元帳・現金出納帳の写し
- 売上の根拠となる領収書の控え、顧客との契約書・請求書
通帳がない以上、現金出納帳や総勘定元帳が唯一の証明となります。売上の根拠となる資料は必ずセットで提出してください。
事務所の稼働実態はどう示せばよいですか?
内装や備品への投資実績を示す書類で、事業基盤が整ったことを裏づけます。
内装が終わったばかりの段階では、まだ「生活感」や「稼働感」が写真に写りません。この場合は、スタートアップ期間を経て、ようやく事業基盤となる事務所の整備が完了したことをポジティブに伝えます。
- 事務所の賃貸借契約書(事業用であることの再確認)
- 内装工事の請負契約書や領収書(投資の実績になります)
- 備品(パソコン、デスク、什器)の購入領収書
- 今後の事業展開を示すパンフレットやウェブサイトのプリントアウト
上申書はどう構成すればよいですか?
事業進捗、未提出資料の理由、資金の透明性、今後の改善計画の4部構成をお勧めします。
- 事業進捗の報告:第1期・第2期の活動内容と、なぜ売上が現時点では100万円に留まっているのか(準備期間の必要性)の解説。前回申請時に説明した事業計画との乖離について、当初計画とは具体的にどこが変わり、どのような対応を執っているのか、今期の見通しはどのようなものかを詳細に説明することが重要です。
- 未提出資料の理由説明:口座未開設、納税遅延についての正当な理由と、現在の進捗状況。
- 資金の透明性の証明:海外からの送金が、不法なものではなく、正規の報酬に基づく事業資金であることの立証。
- 今後の改善計画:次回の更新までに「法人口座の開設」「適正な役員報酬の支払いと納税」「常勤職員の雇用」をいつまでに行うかという、具体的なコミットメント(約束)。常勤職員を1人以上雇用することは、令和7年10月16日に施行された改正後の許可基準では要件とされています。経過措置の期間中であっても、いずれは満たす必要がありますので、「検討します」ではなく、いつまでに雇用するのかを改善計画として具体的に示してください。
初回更新では「完璧であること」よりも、経営者としての誠実さと、事業の蓋然性(確からしさ)が見られます。資料が揃わないからといって申請を先延ばしにすることはできませんので、まずは今あるもので最善を尽くす必要があります。
2025年10月の基準改正は今回の更新に影響しますか?
施行日から3年を経過する日までの更新申請には、経過措置が設けられています。
在留資格「経営・管理」の上陸許可基準省令が改正され、令和7年10月16日に施行されました。既に「経営・管理」で在留している方については、次の取扱いとなります。
既に「経営・管理」で在留中の方が施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの間に在留期間更新許可申請を行う場合については、改正後の許可基準に適合しない場合であっても、経営状況や改正後の許可基準に適合する見込み等を踏まえ、許否判断を行います。なお、審査においては、経営に関する専門家の評価を受けた文書を提出いただくことがあります。
施行日から3年を経過した後になされた在留期間更新許可申請については、改正後の許可基準に適合する必要があります。
よくあるご質問
納税証明書が出せない場合、何を代わりに提出すればよいですか。
本国での確定申告書の写しと翻訳、日本への送金記録(海外送金証明書)、税理士とのやり取りの記録などです。最も強力なのは、申請前に期限後申告を済ませ、納税した領収書を添付することです。
法人口座がなくても更新申請はできますか。
できます。銀行からの拒絶通知や審査中の受付票で経緯を示したうえで、総勘定元帳や現金出納帳、売上の根拠となる領収書の控え、顧客との契約書・請求書をセットで提出して売上を立証します。
上申書には何を書けばよいですか。
事業進捗の報告、未提出資料の理由説明、資金の透明性の証明、今後の改善計画の4部構成をお勧めします。特に今後の改善計画は、いつまでに何を行うかを具体的に約束する形で書きます。
既に「経営・管理」で在留していますが、改正後の基準にすぐ合わせる必要がありますか。
令和10年10月16日までの間に行う在留期間更新許可申請については、改正後の許可基準に適合しない場合であっても、経営状況や適合する見込み等を踏まえて許否判断が行われます。それ以降の申請は改正後の基準に適合する必要があります。
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※この記事は一般的なご説明です。制度は変わることがあり、実際の可否は個々の事情によって異なります。最新の情報は出入国在留管理庁の公式サイトでご確認いただくか、当サイトの行政書士にご相談ください。