低収入と単身赴任の別居は配偶者ビザ更新に影響しますか?
一般社団法人 外国人雇用支援機構(FESO)/ 最終更新 2026-08-21
答え
持ち家という資産があっても、審査で重視されるのは安定した収入の継続です。また長期の別居は婚姻の実態を疑われる最大の要因になります。単身赴任であっても、辞令書、別居中の交流記録、将来の同居計画を揃えて、先回りして説明する必要があります。
どのようなご相談ですか?
有利な材料があると考えていたご夫婦が、更新申請で不許可となった事例です。
- 相談種別:在留資格「日本人の配偶者等」
- 申請種別:在留期間更新許可申請
- 状況:家族構成は夫婦のみ。日本人配偶者は会社員で年収は約250万円。日本人配偶者の名義で、住宅ローンを完済した持ち家がある。日本人配偶者の単身赴任により、夫婦は1年半の長期別居中。外国籍配偶者は日本でパートをしながら帰りを待っている。
- ご相談の背景:「収入は低めだが住宅ローンがなく持ち家があるので経済的には安定している」「別居は仕事のやむを得ない事情なので問題ないだろう」と考え、別居していることを正直に申告して更新申請を行った。
- 結果:地方出入国在留管理局から追加資料を求められたのち審査が長期化し、最終的に不許可となった。
「日本人の配偶者等」の審査では、婚姻の真実性と経済的安定性の二つが常に問われます。安心材料と考えていた事情が、かえって審査を複雑にすることがあります。
持ち家があれば収入が低くても大丈夫ですか?
持ち家は資産として有利ですが、審査で重視されるのは安定した収入の継続です。
- 年収の水準
住宅ローンがないとはいえ、年収250万円という水準は、大都市圏で夫婦二人が安定した生活を送るうえでは余裕が少ないと見られることが実務上の目安とされています。
- 持ち家があればよいわけではない
持ち家は資産ですが、重視されるのは現在の安定した収入です。持ち家があっても、固定資産税、修繕費、光熱費といった継続的な支出があるため、低収入では生活が苦しくなるリスクが残ると判断されます。
- 外国籍配偶者の収入への依存
外国籍配偶者のパート収入がなければ、日本人配偶者の年収だけでは生活が成り立たないことが明らかな場合、日本人配偶者が自立して家族を扶養できるかという点で不安要素となります。
持ち家がある場合は、固定資産税や光熱費の支払い記録を添付し、「資産があるからこそ、この収入でも生活が成り立つ」という説明を加えることが望まれます。
なぜ単身赴任の長期別居が不利になるのですか?
婚姻の実態が失われていると疑われる、最大の要因になるためです。
- 別居の期間
1年半という長期の別居は、一般的な単身赴任としては長く、夫婦関係が冷え込んでいる状態ではないかと疑われやすくなります。
- 経済的な協力の証拠不足
別居しているにもかかわらず、夫婦が生活を共にし経済的に協力している証拠(送金記録、家計を一緒に管理している記録など)が不足していると判断されました。
- 低収入と別居の組み合わせ
「収入が低いなら、家計を助け合うために同居して生活費を節約すべきではないか」という疑問が生じます。低収入で別居を続けている状況は、夫婦関係の実態が薄いと解釈されるリスクがあります。
別居している場合、何を用意すべきですか?
別居の必要性と、夫婦としての実態を裏づける証拠を揃えて説明します。
- 単身赴任の辞令書、期間を明記した会社の書類
- 別居期間中の交流記録(会っている際の写真、SNSの通話・メッセージ記録など)
- 将来の同居計画(いつ、どこで同居を再開するか)
- なぜ収入が低い中でも別居が必要なのか、その合理的な理由の説明
- 夫婦間の送金記録や、家計を一緒に管理していることがわかる記録
この事例から何を学ぶべきですか?
有利な材料に頼らず、不利な材料を先回りして説明する姿勢が必要です。
「日本人の配偶者等」の審査は、申請者が持つ有利な材料(持ち家、高学歴など)だけを見て許可を出すわけではありません。同時に、不利な材料(低収入、長期別居、納税の遅れなど)が、安定した生活の継続性を脅かしていないかが確認されます。
- 経済力は「資産」より「収入」と「継続性」
持ち家があっても、現在の安定した収入が生活に足りていることを示す必要があります。
- 別居は最大の不安要素
やむを得ない別居であっても、その必要性、期間、そして夫婦間の協力の証拠を、先回りして説明することが欠かせません。
不安要素がある場合は自己判断せず、不利な要素を正直に伝えたうえで、それを補強する書類を整えることが、許可への確実な道になります。
よくあるご質問
住宅ローンを完済した持ち家があれば収入が低くても許可されますか。
持ち家は資産として有利ですが、審査で重視されるのは現在の安定した収入です。固定資産税や修繕費など継続的な支出があるため、持ち家だけで収入の低さを補えるとは限りません。
単身赴任による別居は問題になりますか。
やむを得ない事情であっても、長期の別居は婚姻の実態を疑われる要因になります。辞令書、別居中の交流記録、将来の同居計画などを揃えて、必要性と夫婦としての実態を説明する必要があります。
別居中はどのような証拠を集めておくべきですか。
単身赴任の辞令書や期間を明記した会社の書類、会っている際の写真やSNSの通話・メッセージ記録、送金記録や家計を一緒に管理していることがわかる記録、そして将来の同居計画です。
不利な事情は隠したほうがよいですか。
隠すべきではありません。不利な要素を正直に伝えたうえで、それを補強する書類と説明を先回りして用意することが、許可につながります。
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※この記事は一般的なご説明です。制度は変わることがあり、実際の可否は個々の事情によって異なります。最新の情報は出入国在留管理庁の公式サイトでご確認いただくか、当サイトの行政書士にご相談ください。