所得税の申告漏れと遅延納付は永住審査に影響しますか?
一般社団法人 外国人雇用支援機構(FESO)/ 最終更新 2026-08-21
答え
所得税の申告漏れと遅延納付は、永住審査に一定の影響を及ぼす可能性があります。「素行が善良であること」と「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」の判断で、納税義務の履行状況が重視されるためです。ただし自ら是正し完納した経緯は、評価されうる要素です。
どのようなご相談ですか?
海外不動産の家賃収入の申告漏れが後から判明した方からのご相談です。
- 相談種別:永住権
- 申請種別:「技術・人文知識・国際業務」から「永住者」への変更
- 状況:イギリス国籍。「技術・人文知識・国際業務」で来日し、10年以上継続して在留。給与は年間900万円程度で過去も同額程度。社会保険や年金の未納なし。在留期間5年を保持。交通違反なし。
- 経緯:約4年前にイギリス本国の不動産を売却し、売却益について確定申告したところ、それまでの家賃収入を日本で申告していなかったことが発覚。所得税および延滞税を今年納付。
- ご質問:所得税の確定申告が漏れ、納付が遅れてしまった場合、永住ビザの審査にどの程度の影響が出ますか。
申告漏れと遅延納付は、審査にどう影響しますか?
素行の善良性と、独立の生計維持能力の両方の判断に影響します。
- 素行の善良性:税金の申告義務は、日本で生活するうえで果たすべき基本的な義務の一つです。これを怠ったという事実は、「素行が善良であること」の判断においてマイナスに評価される可能性があります
- 独立の生計維持能力:過去の納税状況は、経済的な信頼性や、将来にわたって安定した生計を維持できる能力を示す重要な指標です。申告漏れや遅延納付があった場合、その信頼性が一時的に損なわれる可能性があります
- 故意性・悪質性の判断:申告漏れが故意によるものか単なる過失によるものか、またその経緯や期間、金額の多寡などが考慮されます。海外不動産の家賃収入という複雑な事情があり、売却時に自ら申告したことで発覚したという経緯は、悪質性が低いと判断される要素になるかもしれません
- 延滞税の納付:延滞税をきちんと納付していることは、税務当局からの指摘を待つのではなく自ら是正し、納税義務を果たしたという点で、評価されるべき点です
ただし「法の不知はこれを許さず」とされており、申請人には厳しい判断が下される可能性は高いと思われます。納税義務違反があったという事実は厳然たる事実であり、影響は避けられないでしょう。税金に関する事柄は特に重視される部分です。
有利に働く要素はありますか?
社会保険・年金の完納、交通違反がないこと、自ら是正したこと、安定収入の4点です。
- 社会保険・年金の未納がない:公的義務の履行状況全体で見たときに、きちんと納付している点は非常に大きなプラスです
- 交通違反がない:素行面で他の問題がないことは有利な要素です
- 自ら確定申告したことで発覚・是正:税務署からの指摘を待つのではなく、自ら確定申告を行った結果として発覚し、速やかに延滞税を含めて納付したという経緯は、誠実な対応と評価される可能性があります
- 継続的な安定収入:現在の給与が900万円程度あり、過去も同額程度で安定している点は、生計維持能力の面で強いアピールポイントです
どのような補強策がありますか?
理由書と納税証明書で、経緯と是正の事実を丁寧に示すことです。
- 詳細な理由書の作成
なぜ過去の家賃収入を申告していなかったのか、その経緯を具体的に説明します。単なる過失であり故意ではなかったこと、海外の税制と日本の税制の違いを十分に理解していなかったことなどを丁寧に説明します。発覚後の対応(自ら確定申告し、延滞税を含めて全額納付したこと)を明確に記述し、誠実な対応を強調したうえで、今後は日本の税法や法令を完全に遵守していく決意を表明します。
- 納税に関する書類の充実
遅延納付した所得税および延滞税の納税証明書(完納を証明するもの)を必ず提出します。申告漏れが発覚する前の過去数年分の納税証明書(所得税、住民税)も併せて提出し、それ以外の期間は適切に納税義務を果たしてきたことを示します。年金や健康保険の納付状況を証明する書類も漏れなく提出します。
- 会社からの推薦状
勤務先の会社から、勤務態度、日本での貢献度、今後の継続的な雇用予定などを記載した推薦状を取得することも有効です。
- 申請タイミングの検討
納税を終えたばかりの時期に申請するよりも、納税から数か月から半年程度が経過し、その間も引き続き安定して生活している実績ができたうえで申請するほうが、より安定した印象を与える可能性があります。ただし現在の在留期間の有効期限を考慮し、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。
海外で課税された分はどう扱われますか?
外国税額控除により、国際的な二重課税を調整できます。
国外所得について外国の法令で所得税に相当するものが課税される場合、日本およびその外国の双方で二重に所得税が課税されることとなります。
この国際的な二重課税を調整するために、一定額を所得税額から差し引くことができます。これを外国税額控除といいます。この手続きを行うことで、事後の対応としては最善の状態を作ることが可能となるでしょう。
外国税額控除の手続きについては、税理士など専門家にご相談されることをお勧めします。
よくあるご質問
所得税の申告漏れがあると永住申請はできませんか。
申請自体はできます。ただし納税義務の履行状況は「素行が善良であること」と「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」の判断で重視されるため、一定の影響を及ぼす可能性があります。
自分から申告して納付した場合、評価は変わりますか。
税務当局からの指摘を待つのではなく自ら是正し、延滞税を含めて速やかに納付したという経緯は、誠実な対応と評価される可能性があります。ただし納税義務違反があったという事実そのものは残ります。
納税を終えたらすぐに申請したほうがよいですか。
納税から数か月から半年程度が経過し、その間も安定して生活している実績ができたうえで申請するほうが、より安定した印象を与える可能性があります。在留期間の有効期限を考慮して進めてください。
海外で税金を払っている場合、日本でも課税されますか。
国外所得について外国でも所得税に相当するものが課税される場合、二重に課税されることとなります。これを調整するため、一定額を所得税額から差し引く外国税額控除という制度があります。
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※この記事は一般的なご説明です。制度は変わることがあり、実際の可否は個々の事情によって異なります。最新の情報は出入国在留管理庁の公式サイトでご確認いただくか、当サイトの行政書士にご相談ください。